2010年12月31日金曜日

ヒート

 1995・アメリカ
監督:マイケル・マン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン、ピーター・ジャン・ブルージ
製作:マイケル・マン、アート・リンソン
脚本:マイケル・マン
出演:アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ヴァル・キルマー、ジョン・ヴォイド、ナタリー・ポートマン

 男臭すぎる映画特集第3回『ヒート』。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの競演。映画ファンなら口からよだれが止まらなくなる事態。それも、アル・パチーノを刑事役、デ・ニーロを犯罪のプロ役となかなか挑戦的な配役。そして監督は、現在ハードボイルドな群像劇を撮らせたら右に出る者なし、マイケル・マン。さらに、脇を固めるのは、ジョン・ヴォイド、ヴァル・キルマー、そしてナタリー・ポートマン。もはや完全無欠の布陣。  こりゃ、面白くねぇわけないでしょ。
 内容は、硬派でありながらフィルム・ノワール的な哀愁に満ちており、男同士の奇妙な連帯感を描きつつ、痛切なシーンが要所要所であります。あらすじですが、以下になります。

 
 プロの犯罪者であるニール率いるチームは、現金輸送車から多額の無記名証券を奪取するが、新参者の起こしたトラブルや取引相手の裏切りで厄介な状況に追い込まれる。 一方、事件をききつけた警部のヴィンセントは、わずかな手がかりからチームのメンバーを割り出すことに成功、執拗な追跡を開始する。捜査の過程で二人は、やがて対極に位置する存在でありながら、お互いの存在に不思議な共感をおぼえるが…

 ここでひとつ断っておきます。パチーノとデ・ニーロ、は2人同時に同じ画面に映ってるシーンは思ったより多くありません。人によっては、少し肩すかしをくらった感じがするかもしれません。

 しかし、僕は『ヒート』を観たときそういった物足りなさは、全く感じませんでした。なぜなら、プロの犯罪者のデニーロと、それを追う刑事のパチーノ。決して、相容れない間柄でありながら、お互いのプロ意識には一目置き、それに関しては、むしろ共通点すら見いだしている。 道は違えど、そこにはかすかな友情に似た奇妙な感情が。「俺はヤマをふむプロ、あんたは、それを阻止するプロ」。そして、それらの感情がお互い会わずしても、肉食獣の本能からなのか、察知し、一進一退の駆け引きを展開する。つまり、そこにこそ会わずして魅せる、語らずして魅せるという二大俳優の職人芸が凝縮されているからなのです。
 
 アル・パチーノは、背が低くて、実際、作品中でも引き連れている警官連中の中で一段背が低いことを感じるのですが、そんなことを軽く吹き飛ばす勢いの迫力ある口調と存在感はさすがですね。

 また、アクションでの一番の見せ場である市街地での銃撃戦は圧巻です。まずハンドガンではなく、アサルトライフルで激しく撃ち合います。また他の安いアクション映画と違うのは、走りながらではなく、車や柱に隠れ、止まった状態でサイト越しに狙いを定めて発砲することを徹底していたこと。アル・パチーノが走りながら車に身を潜め、徐々に追い込んでいく様子、連動するカメラワークは感動ものです。銃撃音が本物であったりと、発砲する際の反動が伝わってくるほどのリアリティです。

 もしあなたが男性なら「あーわかるわかる」と感じだろうし、女性なら「あぁ、なんて男ってバカなんだろう」と思って観ることになるだろうと思います。

 パチーノさん、デ・ニーロさん、おいらぁ、一生あんたらについて行きやすぜ。

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