2010年12月7日火曜日

東京物語


 【監督】小津安二郎
 【出演】笠 智衆、東山千栄子、原 節子、 杉村春子、山村 聡 他


 第二回、『東京物語』です。なぜか最近、僕の周りで『東京物語』を耳にすることが多いので、このたび投稿しようかと思います。言わずと知れた小津安二郎監督の日本を代表する傑作です。しかし、悲しいことに、映画離れが叫ばれる中、本作を見たことが無い方は案外多いのではないでしょうか。 『東京物語』は、小津の最高傑作と位置付ける意見も多く、世界的にも有名で、日本映画の最高峰と評されることもあります。独立した子供たちの元を訪れる祖父母と、それを快く思わない子供達を通して、家族の絆、老いと死、人の生き方、それらを見事に描いた作品です。

 周りに欲を出しても、みな変わっていく。
人生はあっという間で、儚くもあり、辛くもある。
しかし、考えてみるとどこかに幸せがある、小さくても必ずある。
その幸せを尊重し、大切にしたい、そんな心が小津作品の最も深い所に根付くものだと思います。その精神は、本作の底流にもしっかり流れています。

 小津監督がもっともこだわり、描き続けたものは、“家族”というテーマでした。そこには、過剰な演出や娯楽性はなく、徹底して、“崩壊” “儚さ” “あはれ”が描かれます。しかし、その裏には、小津監督のそうあるべきではないという時代を超越した願いがあったのだと思います。家族のあり方を描き、さらにそれぞれの裏腹な心情や、それによる家族の儚さを描いたのも、家族というものを心から愛していたからでしょう。 

 本作は、そんな小津精神の集大成ともいえる作品です。


 小津監督にとって東京は、その儚さの象徴であったのでしょう。現代の核家族化や一人暮らし高齢者問題・・・その儚さは、今まさに社会問題にまで発展しています。本作は、現代を生きる日本人への静かな警鐘なのでしょうね。

 改めて、小津安二郎監督に謹んで敬意を払いたいと思います。





 上京して、一年半、たまには、田舎の両親に僕から電話してみようかな・・・。

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