2010年12月25日土曜日

ワイルドバンチ


 

1969・アメリカ
監督:サム・ペキンパー
製作:フィル・フェルドマン
脚本:ウォロン・グリーン、サム・ペキンパー
出演者:ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、エルモンド・オブライエン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン
   
 メリー・クリスマス!!恋人達の季節、クリスマス・・・。嬉しいような、悲しいような、シングルマンの僕のクリスマスは、今年もまた過ぎ去ってゆく訳ですが・・・。どうせ映画なんか詳しくてもちっとも、もてねぇさ。
 
 えーーい!! こうなったら、やけくそだぁ!!

 男臭すぎる映画特集うぁあああ!!!!!

 これを見ている僕のようにもてない君もこれから紹介する映画を観て、男のロマンに浸ってくれ。

 ってなわけで、男臭すぎる映画特集第一回『ワイルドバンチ』、いってみましょう。本作はバイオレンス映画の名匠サム・ペキンパー監督にによるもので、時代の波に取り残された無法者たちの滅びの美学を描いた作品であり、西部劇に引導を渡した「最後の西部劇」と呼ばれています。また、ペキンパー監督の最高傑作として高く評価されています。サム・ペキンパーの名前を知らない方も多いと思いますが、実は、彼独特の映像センスは後世のタランティーノや『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー兄弟などに多大な影響を与えています。  あらすじですが、以下になります。


 1913年、メキシコとの国境近くの町で8人の強盗団が鉄道事務所に押し入るが、鉄道が雇った賞金稼ぎたちに待ち伏せされ、通りで銃撃戦となる。強盗団のうち5人が逃げ延びる。リーダーのバイク・ビショップ、相棒のダッチ、下品で文句ばかり言っているゴーチ兄弟、若いメキシコ人エンジェルである。隠れ場所に戻った彼らが強奪した袋を開けてみると、金貨ではなく、ボルトの座金が詰め込まれていた。
 一団は国境を越え、内戦が続くメキシコに入る。エンジェルの故郷の村に着いた彼らは、その地方が政府軍のマパッチ将軍に脅かされているのを知る。エンジェルは、自分の彼女テレサが自らマパッチについていったことを知って嘆く。
 一団は、マパッチの軍隊が本拠地とするアグアベルデに行く。エンジェルは、自分の彼女テレサがマパッチのひざの上に乗っているのを見て、彼女を射殺する。マパッチは、エンジェルが自分を狙ったのではないと分かると、彼を釈放する。一団は、アメリカの列車から武器を盗むようマパッチから依頼される。
 列車強盗は成功し、武器はマパッチに渡されるが、エンジェルは、マパッチと戦う山の人々に武器一箱を渡す。それを知ったマパッチは、エンジェルを捕まえて、残酷な仕打ちをする。一団は、エンジェルを助けるために、死を覚悟で殴りこみに行く・・・。


 本作の魅力としてまずあげられるのは、スローモーションや細かいカット割りなどを駆使した暴力描写や戦闘シーンでしょう。特に6台のマルチカメラを用いて11日間ぶっ通しで撮影されたというラストの壮絶な大銃撃戦は、「デス・バレエ」(死のバレエ)、「ボリスティック・バレティックス」(弾道バレエ)などと呼ばれ、後続の映画製作者たちに多大な影響を及ぼしました。
 しかし、この作品が傑作とされる本当の所以は、バイオレンス巨編だから、暴力描写が美しすぎるからといったものではないと思います。それは、この荒ぶりながらも美しいエレジーが、これ以上無きまでに去り逝く者への鎮魂と残された者の悲哀とを絶妙なバランス感覚を持って同時に描き切っているからなのです。 
 
 皆人生をそれなりに謳歌し去って逝った無法者たち。パイクに扮したウィリアム・ホールデンをはじめ、アーネスト・ボーグナインもウォーレン・オーツもハイミー・サンチェスもベン・ジョンソンも皆素晴らしい。しかし、、最終的に物語の比重は、生きることの悲しさを一身に背負う、元の仲間でありながら追跡者にならざるを得なかったロバート・ライアンにこそあります。 
 
 ライアン演じるデーク・ソーントンは本編全体を覆う余韻の発信源なのです。強烈に自己主張するわけでもなく、かといって己を見失っているわけではない。ただただ、今このとき己のせねばならないことをひたむきに遂行しようと一途です。その中庸なオーラがフィルム全体にこのうえもなく美しい余韻を与えています。そしてこの余韻こそに『ワイルドバンチ』の感慨深い独自性があると思います。

 思わず、語りすぎてしまいましたが・・・。ご自身の目で確かめてみるのが一番かと。


 男の生き様ここにありです。

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