2014年12月31日水曜日

2014年映画ベスト10、選びました。

第1位 『スノーピアサー』



迷いましたが、やっぱり、この映画です!

『殺人の追憶』『グエムル−漢江の怪物』『母なる証明』のポン・ジュノ監督のハリウッドデビュー作。タランティーノに「ポン・ジュノは、70年代の最高にクールな時期のスピルバーグのようだ」と言わしめた韓国で今一番イカしてる映画監督。

これがまたヘンテコリンな映画なんだけど、途轍もなく面白かった。

〔あらすじ〕
2014年、地球温暖化を防止するため78カ国でCW-7と呼ばれる薬品が散布されるが、その結果、地球上は深い雪に覆われ、氷河期が再来してしまう。それから17年後、かろうじて生き延びた人々は「スノーピアサー」と呼ばれる列車の中で暮らし、地球上を移動し続けていた。列車の前方は一握りの上流階級が支配し、贅沢な生活を送る一方、後方車両には貧しい人々がひしめき、厳しい階層社会が形成されていた。そんな中、カーティス(クリス・エバンス)と名乗る男が自由を求めて反乱を起こし、前方車両を目指すが……。

物語の舞台となる列車自体が、資本主義社会の縮図ともとれる寓話的な構造を持った映画です。実社会の問題にも置き換えられる構造をとることで、思わず主人公たちレジスタンス側に感情移入してしまうシカケもまた巧い。

ブルース・リー『死亡遊戯』、筒井康隆『家』、ゴヤ『我が子を食らうサトゥルヌス』など全く異色な作品群を彷彿とさせる。が、得意のブラックユーモアを織り交ぜながら、絶妙なバランスで成り立たせている。そんでもって、最後には、人類の自由獲得までの闘争の歴史という骨太なテーマに着地させてしまう腕力たるや。

もうポン・ジュノって何なんすかね。。。



矮小な空間でありながらこの壮大なスケール、痛快アクション劇でありながらこのシリアスさ。グロテクスエンターテイメントの傑作ッ








第2位 『ゴーン・ガール』



上映後の映画館のあの静まり。

少したった後に聞こえてきた「凄いの見ちゃったね」という隣のカップルの会話。

これぞ、劇薬エンターテイメント。。。

何を言ってもネタバレになるので迂闊に感想言えません。






第3位 『そこのみにて光輝く』



2014年度邦画イチオシ。本当に良かった。日本映画の底力を感じる。

綾野剛の現実から逃げ腰の受動的クズっぷり。
菅田将暉のガサツで純粋で人懐こい愛すべき馬鹿っぽさ。
池脇千鶴のリアルな肉付き、この上ない説得力のエロさ。
高橋和也の地域密着型の言葉にし難い悪人っぷり。

今でも思い出すと目頭が熱くなってしまう。うっ。。。







第4位 『イコライザー』



某映画ライター曰く「舐めてた相手が実は殺人マシーンでしたムービー」最高傑作。

映画館で鑑賞しながら「これ、おもしろいなあ」と思わず小声でつぶやいてしまった。

今回、デンゼルの役どころは、ホームセンターの店員さん。
しかし、その正体は、元CIAの秘密工作員。

しかも、デンゼル史上最強の男なんです。『マイ・ボディガード』のクリーシーよりも、『デンジャラス・ラン』のトビン・フロストよりも強い。とにかく強い。

デンゼル兄貴が、ダイナーで知り合った高級コールガール、クロエ・モレッツ嬢を救うべく、ロシアンマフィアのダニどもを死刑に処す!処す!処す!

ああ、溜飲下がるわあ。個人的に好きなモノが詰まった映画でした。
うん、100点。






第5位 『イントゥ・ザ・ストーム』



本年度「鑑賞前舐めてたら、とんでもなく傑作でした」部門グランプリ。

見世物小屋的なおバカムービーと思いきや、、、全く違いました。

竜巻から逃げる者、竜巻を追う者、彼らが抱える人間性やバックグラウンドも丁寧に描くことで、本気でこいつらに助かってほしい!と思わずにはいられないツクリ。だからこそ竜巻が一層怖く感じるわけです。

『ツイスター』や『デイ・アフター・トゥモロー』と比べるのが失礼なくらい良い映画!







第6位 『天才スピヴェット』



『アメリ』ジャン・ピエール・ジュネの3Dロードムービー。

アメリカ大陸横断の旅を美しい風景と共に遊び心一杯に綴って行きます。旅を通して得る家族の再生物語。

いやー見たかったアメリカの原風景は、まさにこれです!

ジュネ流の絵本のような3Dの使い方も面白い。今年の絵本系映画で言うと『グランドブタペストホテル』もありますが、僕は断然こっちが好きです。






第7位 『複製された男』



星新一、安部公房、デヴィット・リンチあたりが好きな人は絶対にハマります。

中毒性異常。






第8位 『プリズナーズ』



監督は『複製された男』と同じカナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ(言いにくい)。
だめだ…この監督…好きすぎる。ストーリーも演技も撮影も編集も音楽も抜群。

『プリズナーズ』という題名が複数形であることに注目。 この映画に出てくる全員が信頼できない「囚われた者たち」。それぞれ人間の奥底に蠢く何かを描く、不気味で詩的で味わい深いミステリーでした。






第9位 『フューリー』



なよっちい文系男子新兵が叩き込まれた先は、第二次大戦最前線、隊長ブラピ率いる戦車隊。噂通り戦場描写が凄まじい。
『プライベートライアン』以来の血肉飛び散るリアリズムかと。

実際に第二次大戦時に使われたという、本物のティーガー戦車とシャーマン戦車のタイマンは映画史に残る名シーンじゃないかな。

ブラピが一人だけあまりにナイスガイすぎるという批判もありますが、この人は良い映画沢山作ってるからヨシなのです。






第10位 『ダラス・バイヤーズクラブ』



とにかく、HIV末期患者を演じた主演マシュー・マコノヒーのカッコよさに尽きる。

いわゆる余命モノなのだが、湿っぽさが皆無で、むしろ滑稽にさえ描いてみせる作り手の乾いたセンスが好きだ。マコノヒーが世界中に薬を買い付けに行くシーンなんか、オーシャンズ11かってくらい。

「感動のヒューマンドラマ」である以上に、
「不条理な社会や現実に反骨するロックンロールムービー」なのである。