2011年4月22日金曜日

冒険者たち


1967・フランス
監督:ロベール・アンリコ
製作:ジェラール・ベイトー、ルネ・ピニェア
脚本:ロベール・アンリコ、ジョゼ・ジョバンニ、ピエール・ペルグリ
出演:アラン・ドロン、リノ・ヴァンチェラ、ジョアンナ・シムカス、セルジュ・レジエニ

 いや~、更新遅れました。年度初めのためバタバタとしていまして。まぁ、言い訳はこのくらいにして・・・。

 今回はロベール・アンリコ監督、『冒険者たち』。いつまでも抱きしめていたくなるような黄昏のロマンティシズムに彩られた永遠の大傑作。その全て、美しく、そして愛おしいんです。
 ロベール・アンリコ監督は、男たちの友情、ロマン、愛を一貫して描いた監督です。中でも最高傑作と名高かく、少年の心をそのまま映像化したような作品です。

 元レーサーのローラン、アクロバット飛行をしているマヌー、芸術家の卵レティシアの3人は奇妙な友情で結ばれていた。夢を追う彼らは、海底に眠る財宝を引き上げるため、アフリカのコンゴ沖にオンボロ船でやってきた。しかし、みごと財宝を引き上げたとき、ギャングが襲ってきて、流れ弾に当たったレティシアは死んでしまう。残った男二人は、財宝をもって彼女の故郷へ逃げるが・・・。



 映画史上で青春映画というジャンルで数々の作品がつくられてきました。僕も青春映画というものはとっても好きです。なんたって、映画は感情移入が命ですから。
 しかし、その時代時代の風俗や流行を描く青春モノは、その時だけのヒットで終わり、すぐに陳腐な時代の象徴的作品としか扱われなくなってしまうことがどうしても多いです。その当時を描くがゆえに、時代の壁を乗り越えることはめったにありません。

 しかし一方で、時代を超えて愛される青春映画があります。僕の好きなところで言うと、『卒業』、『ファイブ・イージー・ピーセス』、『今を生きる』、『スタンド・バイ・ミー』などなど。これらの作品は、例え、その時代の風俗(音楽、ファッション、文化、ダンスなど)を描いていていながら、その向こうに時代を越えた普遍的テーマである「愛」や「夢」、そして特に多くは《挫折》が見えてきます。

 『冒険者たち』に綴られる、「冒険心」、「夢」、そして「別れ」。これらもいつの時代、どの世代のひとが心のどこかには持っている、または持っていたものであり、未来永劫決して色あせることはないでしょう。この映画にも青春映画の魔法のエッセンスが見事にそろっています。

 主人公の三人は、全員が社会からは見放されたようなやつら。アラン・ドロン扮するマヌーとリノ・ヴァンチェラ扮するローラン。こいつらは「冒険者」なんてカッコイイわけではなくて、危険なことをして一攫千金を狙う、香具師です。年齢も青年とオヤジ。性格も違う。アラン・ドロンは世紀の美男子、リノ・ヴァンチェラは中年の太ったおっさんです。
 監督のロベール・アンリコ は、この二人の出会いも、過去の友情のエピソードも、ましては彼らの関係性に関して説明的シーンを一切もってきません。でも、余計な説明なんかいらねぇのよ。だって分かるんだもん。この二人にある熱い友情ってやつが。

 もう一人のキーパーソンがジョアンナ・シムカス扮するレティシア。彼女の美しさったらもう・・・。見てない奴は全員損してます。ハイ、ハッキリ言います。損してます。数々の映画を観てきたけど、ジョアンナ・シムカスほど海の似合う女優さんは居ないのではないか。

 これ程この映画が哀切極まりないのは、彼が描く誰もが持っている「冒険心」、「行動力」、「無謀さ」などの青春へのオマージュに共感するからでしょう。3人の主演者がみんな大人を感じさせながら、それでいて少年の心も残している。それが空々しく見えないところが素晴らしい。
 ラブシーンが全くないところも泣かせます。レティシアに対して2人の男ははっきりしたことは何も言わない。これはローランとマヌーの友情と同じ。けれども気持ちは良く分かる・・・。こうした演出は映画独自のものです。見る者の感性に訴えかけつかんで離さない。

 そして、ラスト。ああ、語りたいけどネタバレになるし・・・。ここはグッとこらえます。

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