監督:ピーター・ジャクソン
製作総指揮:マーク・オーデスキー、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
製作:ピーター・ジャクソン、バリー・M・オズボーン、フラン・ウォルシュ
脚本:J・R・R・トルーキン、フラン・ウォルシュ、フィリパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン
出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、バーナード・ヒル、クリストファー・リー・・・
では、特集第二回、『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』。ロード・オブ・ザ・リング好きとしては、その中毒性を決定づけたの間違いなく本作、『二つの塔』でしょう。 あらすじは、
中つ国では闇の勢力がますます力を増大させている。そんな中、離ればなれとなってしまった旅の仲間たちは三方に分かれたまま旅を続けるのだった。2人だけで滅びの山を目指していたフロドとサム。そんな彼らの後を怪しげな人影が付け回す…。サルマンの手下に連れ去られたメリーとピピンは隙を見つけて逃げ出し、幻想的なファンゴルンの森でエント族の長老“木の髭”と出会う…。一方、アラゴルン、レゴラス、ギムリの3人は、メリーとピピンを追う途中で、国王がサルマンの呪いに苦しめられているローハン王国へとやって来る…。
前作『旅の仲間』の完成度だけに、観る側の期待値としてはかなり高いものになっていたと思います。しかも、シリーズ二作目はコケるというジンクスさえ映画界には存在する。しかし、『二つの塔』はしっかりと僕たち観る者を指輪物語中毒に陥らせてくれました。
前作では、これまで見たことがあるようでなかった夥しい造形や情景、クリーチャーそして建築といった世界観の創造によって徐々にじわじわとその世界観に引きずり込んでくる。だが、『二つの塔』ではもはや造形美を駆使してまず観客を圧倒し、徐々にその理性を取り払っていくという手続きはとられず、戦いに次ぐ戦いの、灰色に支配された不穏な世界へと一気に誘う。確かに、激しい戦闘は映画力を誇示するのにふさわしいものです。
まるで、ジェームズ・キャメロンがリドリー・スコットのSFホラーの古典『エイリアン』の続編、『エイリアン2』を創るうえで、無駄な説明を省き、「戦争」をテーマに傑作を生みだした手法をほうふつさせます。
三部作を序破急で言うと、『破』にあたる本作。いよいよ善悪の対立が表面化してきます。序である『旅の仲間』を引継ぎ、主要な登場人物が次々スクリーンに現われ、戦闘も局地戦であった『旅の仲間』から、大規模なろう城戦へスケールアップします。その戦争のスケール感、迫力が半端じゃない。月並みな言い方ですが、まるで自分のすぐ横で戦闘が繰り広げられている感じです。(そして、『急』にあたる『王の帰還』では、それが全面戦争へ)
整然と並び雄叫びを轟かせる大量のウルク=ハイはひとたび攻撃に出るや、うじゃうじゃと汚い虫のように蠢き、それが蹴散らされ叩き切られるさまは快感だし、エンターテインメントの名に恥じぬぶった切りのめった打ちには大満足。極めつけは、身内を殺された怒りに猛り狂うエントが反撃するシーン。僕の中で最も快感をもたらしてくれた映画体験のひとつです。
一方、前作に萌芽としてあった、人々の心に落とされる暗い影を掘り下げています。人間には正邪の判断は辛うじてできるだろうが、神でない限り善悪という絶対的な価値観で何をも真っ二つに裁くことはできないという究極のジレンマのなか、先に進むしかないフロド、サム。その姿を単刀直入に見せる演出に抜かりはない。そして、そこで登場するのがゴラム、まさに人間の狡猾さや欲望が投影されたかのようなキャラクター。しかし、ゴラムと指輪を介し合わせ鏡のように向き合うフロドは、彼に対しどこか信頼や主従ではない複雑な感情を抱き妙な連帯関係が生まれます。まあ、これが『王の帰還』への重要な伏線なのですが・・・。
指輪を捨てるという世界で最もしんどい旅の苦しみの部分を描く本作ですが、物語の荒々しいエネルギーは生々しく心に刻まれるでしょう。
ほら、観たくなってきたでしょ。 さぁ、TSUTAYAにダッシュ!!!
次回、いよいよ、最終章『王の帰還』です。(勝手にテンション上がってますっ。)
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