2011年1月27日木曜日

特集三部作『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』


2001・アメリカ・ニュージーランド
監督:ピーター・ジャクソン
製作総指揮:ピーター・ジャクソン
製作:ピーター・ジャクソン、バリー・M・オズボーン、マーク・オーデスキー、ティム・サンダース、フラン・ウォルシュ
脚本:J・R・R・トルーキン、フラン・ウォルシュ、フィリパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン
出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ショーン・ビーン、イアン・マッケラン・・・
                         
 久々に特集やりたいと思います。 ロード・オブ・ザ・リング、、2001~2003年に公開され、映画が誕生した20世紀の終わりと映画新時代21世紀の幕開けを告げた記念碑的作品と言っていいでしょう。

 「本作は3部作のため、ひとつひとつの作品で批評することはできない。」なんて言われますが、僕はそうは思わない。本特集では、思いっきり続編と切り放して一本として評価させて戴こうと思います。特に長いシリーズの一作目は後の作品があるからと単体の評価から逃げやすい傾向があるので逃がしたくないのです。それに、シリーズと言っても一本の映画は一本の映画ですからね。

 あらすじは、
はるか昔。闇の冥王サウロンは世界を滅ぼす魔力を秘めたひとつの指輪を作り出した。指輪の力に支配された中つ国では一人の勇者がサウロンの指を切り落とし、国を悪から救った。それから数千年の時を経た中つ国第3世紀。ある時、指輪がホビット族の青年フロドの手に渡る。しかし、指輪を取り戻そうとするサウロンの部下が迫っていた。世界を守るためには指輪をオロドルイン山の火口、“滅びの亀裂”に投げ込み破壊するしか方法はない。そこでフロドを中心とする9人の仲間が結成され、彼らは“滅びの亀裂”目指し、遥かなる冒険の旅に出るのだった・・・。

 この作品は、スター・ウォーズとともに僕が映画というものはまってしまったきっかけともなる作品で、思い入れは人一倍かと思います。なので、前もって言っときますが、この評価はものすごく偏愛的なものとなるでしょう。(申し訳ありません。)

 小学校5年生だったかな。いとこに誘われて、地元のできたばかりのシネコン(当時は感動したな~)に観に行ったのがこの作品との出会いでした。そこから、すっかり中つ国の世界観にハマッてしまった今日この頃です。そんな中、映画が終わってさて帰ろうかとした時、知らないおばさんが係員の人に「これはぁ、今昼休みなんですか?」と尋ねていました。

 そんなわけで、本作『旅の仲間』は、作品そのものが三部作のプロローグです。しかし一本の映画として壮大で奥の深いエンターテイメントであり、見所が多く次作への期待を上手く残しているといえます。
 まぁ、一方またもや原作のダイジェストに過ぎないというありきたりな批判があります。しかし、ここには純粋に映画的な躍動があります。自分のイメージを捨て、心を無にすれば純粋に非現実空間に浸れます。もっとも、この映画を見下す者にとっては『風と共に去りぬ』も『アラビアのロレンス』も長編小説の短縮版にすぎないのでしょう。エピソードは有機的に連なり、想像力で映像の「行間」を補えば神話世界は限りなく膨らんで、178分など瞬く間に過ぎ去るリズムがここには流れています。

 指輪は世界を滅ぼす力を秘めるゆえ、この世が闇に覆われないよう、遥か彼方の火山の亀裂に指輪を投げ「葬り去る」ことを目的に旅は始まります。そして、最も大きな魅力が、20世紀半ばに生まれた現代の神話は、指輪をあらゆるものに置き換えて解釈することも可能なほど示唆に富み、その映像は指輪の魔力を存分に映し出すことでしょう。
 
 また、ここぞというときに走り出すカメラは観る者を高揚させ、物語に引きずり込まずにはおきません。もちろん原作者のあふれんばかりの空想力を映像化するためにデジタル技術は不可欠なのですが、個性的な役者たちの肉体や美しい自然の風物を生かしたうえで処理を施した映像は、昨今の乱用されセンス・オブ・ワンダーを失ったデジタル特撮に一石を投じるものとなっています。

 僕が観ていて最もショッキングだったシーンは、裂け谷にてフロドと指輪の前所有者であるビルボが再会する場面です。それまで穏やかだったビルボがフロドの胸に輝く指輪を見たとたん、「わしの指輪!」と悪魔のごとき形相になる瞬間があるのです。一瞬のシークエンスにもかかわらず、その一瞬に人間の欲望のすべてが凝縮されているようで、背筋がゾッとします。

 前半は、登場人物の説明的台詞が多いのですが、それは仕方がないことだと思うし、後半はそれらを挽回するかのようにアクションと冒険の乱れ撃ちとなるのでかなり爽快です。




 唯一、欠点を上げるならば、上映時間が短いことでしょう。いつまでもこのファンタジックなでもどこかノスタルジックな世界観に身を委ねたいのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿