5/1@渋谷シネパレス
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で、本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門賞を受賞した作品。
『シュガーマン』という人のドキュメンタリーかと思ったら、それは歌のタイトルで、70年代にリリースされたその歌を歌ったロドリゲスという人のドキュメンタリーでした。ドキュメンタリーってことでちょっと遠ざけちゃうけど、『シュガーマン」はそこら辺のフィクションよりも数倍ドラマチックで数十倍泣ける。
アメリカのシンガーソングライター、ロドリゲス。彼はアメリカでは全くの無名。一方、南アフリカでは曲がヒットし国民的アイドルとなった、という極端な落差をもつ不思議なミュージシャン。そしてこの落差が物語の動力源でもある。
そもそも基本的なドキュメンタリーの語り口は、とある人物にスポットをあて、直接的な肉薄した映像をゴロっと提出し、それが醍醐味だったりする。しかし、この『シュガーマン』では当該スポットを当てる人、ロドリゲスさんが消息不明。つまり、前半、70年代を彼と共に過ごした関係者が今は行方不明の人物について語るという形で映画は進む。
さらに彼らはもう老人だ。実現されなかった夢を夢見る人の悲しみと憂いと郷愁に満ちている。しかしどこか若々しくも見える。瞳は少年のようにさえ見える。実現されなかった夢を、自分の中に生きるロドリゲスだけが実現してくれる、そんな年月がねじれさせた希望が、彼らの言葉と表情をつくっているのかもしれない。
もちろん、これはロドリゲスのドキュメンタリーなので、映画はそれだけでは終わらない。後半はロドリゲスという夢に生きる人々と打って変わって、ロドリゲスという現実が登場する。その対比がパズルを埋めるように更に物語をつくって行く。
この『シュガーマン 奇跡に愛された男』は、究極的に表現する人のあるべき姿って何だろう?という問題への丁寧な考察でもある。
歌はそれを聞いた人たちの中で生き続けるのだ、そんなことを言いたくなる映画。泣けた。
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